友達になるということ
失った“友達”




「ねぇねぇ、まず何から乗るー?」


「私はメリーゴーランドとか……」


きゃっきゃとはしゃぎながら、様々なアトラクションを指さす芹香とスミレ。


そんな2人の後ろで、あたしは俯いていた。


どうして、こんなことになってしまったんだろう。


今日、あたしはスミレと2人で楽しむはずだったのに。
あたしが勝手に早合点してしまっていただけなんだけど、それでもどうして、よりにもよって芹香なんだ。


浮かれていた数時間前の自分を殴ってやりたい。もし時間を巻き戻せるのなら、スミレに誘われた時点で断るのに。


本当は、今だって「芹香がいるなら嫌だ」と言って、帰りたい。


でも……。


「なずな!早く行こー!」


「……うん」


芹香に呼ばれて、あたしは2人のあとをついていく。


そうすることしかできないんだ。
だって、ここであたしが帰れば、スミレと芹香は2人で遊園地に行くことになり、もっと仲良くなってしまうかもしれない。



< 199 / 339 >

この作品をシェア

pagetop