友達になるということ




彩芽の隣にいるその子は、半年ほど前にうちの中学校に転入した子で、名前は蘭(らん)。


クラスに馴染めずいつも独りだったから、あたしと彩芽が声をかけた。


『よろしくね、なずなちゃん。彩芽ちゃん』


はじめはすごく嬉しそうに笑ってそう言ってくれたのに、今や彼女がよろしくやってるのは彩芽だけ。


彩芽のそばにいるあたしは邪魔者らしく、彩芽とあたしの間に割り込むように入ってきては、あたしから彩芽を奪っていくのだ。


大事な彩芽を取られる悔しさから、はじめは対抗するみたいに蘭に見せつけるようにして彩芽と仲良く振る舞っていたこともあったけど、それももう疲れた。


何より、彩芽がされるがままだったのが許せなかった。


「なずなちゃん」


声はかけてくれる。一応。


でも、それだけ。



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