友達になるということ




手にしていたスマホの時計を見て、スミレが走り出す。
あたしも慌ててあとを追いながら叫ぶ。


「スミレ!好きとかじゃないんだからね!」


「今度また、芹香ちゃんも一緒に恋バナしようねー!」


「スミレ~~~ッ!」


全く話を聞いてくれないスミレにあたしは呆れつつも、椿くんの告白が本気なら、あたしもきちんと考えなくちゃとは思った。


あたしは、椿くんのことを、男の人として好きなのかどうかを……。





教室へ行くと、椿くんのバッグは机の上にあったものの、彼本人の姿はなかった。


部活かな、と思ったけど、同じサッカー部のクラスメイトが教室にいるので、今日の朝練はなかったか、すでに終わっているはず。


トイレにでも行ってるのかな。
それか、初めて話した時みたいに、屋上で一人でサッカーしてるのかな。


椿くんが戻ってきたら、いつも通りの態度で、自然な感じで「おはよう」って言おう。


そう思いながら、自分の席に向かおうとした時……。



< 292 / 339 >

この作品をシェア

pagetop