現妖世捕物帖
・・ギュム・・・ギュム・・ギュム。
踏み締める度に音が鳴る。
降り止むことのないかのように灰色の雲空からはしんしんと雪が舞っていた。
「はぁぁぁ、相変わらず真っ白いなぁ」
そう呟くその者は此処に生き逝く数多いる一族のひとり。
雪が支配するこの白銀の世界でその『名』を知らないものはいないほどに、この者の一族は『特別』だった。
ただ、『彼ら』にとってはその『力』は微々たるものでしかない事を今はまだ知る由もなかった。
ーーそう、『彼ら』出逢うまでは。