後輩。
後輩。

4年間付き合った彼氏と別れた。初めてをあげた人だったし、本気で愛した人だった。
別れた理由は、環境が変わって、仕事で疲れているのに私が構って欲しい、寂しいと言い寄り過ぎて疲れさせてしまったのが原因だ。結婚も約束していた人。よりを戻せるかと聞かれたら戻せそうではあるし、戻せなさそうと言えば戻せなさそう。実に曖昧な状況だ。元々親友同士でもあったし、今も連絡を取り合うし、話題も向こうから作ってくれる。でもやっぱり彼を失ったショックが大き過ぎて、私は荒れた。寂しくて悲しくて、彼に必要とされないなら生きている意味がない。そう彼と共通の友人であり後輩の春に電話した。

「大丈夫ですか?」

春の声は男にしては少し高くて、そして柔らかい。春と話していると安心した。彼の事を考えずに済んだ。春は、彼に似ていた。

「ねぇ…」
「何ですか?」
「寂しいよ…1人になりたくない1人にしないで…」

春を彼に重ねて、彼を求めた。

「…泊まりに行きますか?」
「うん…一緒にいて…」

この電話をする前、春には彼の他に気になる人、好きになれそうな人はいるのかと聞かれて、春だと答えた。春もそれは嬉しい、自分も誰かに愛されたいそう言ってくれた。彼に必要とされなくても、自分が居るから大丈夫だと言ってくれた。だから春に甘えてしまった。

「あいつに必要とされないなら誰でもいいよ…いらないよ私なんか…」
「…」
「お願いだから1人にしないで…」
「美乃さん…」
「…」

このまま春を好きになりたい。好きって言って欲しい。そしたら私も春を好きになりたい。

「わかりました、明日行きます」
「うん、来て」
「…美乃さん、」
「ん?」
「前気になる人が居るって言いましたよね?」
「…うん」
「その人に抱かれれば落ち着きますか?」

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