動き出した、君の夏
ヒュンッ

ピッチングマシーンから、俺目掛けてボールが飛んできた

カキンッ

狙いを定めてバットを振った
狙った場所より数センチずれた場所にボールがぶつかった

『…ち…』

曲がりもしないストレートなのに
前みたいに確実に狙った場所に飛んでいかない

やべぇ

これじゃ、マジで卓人に取られちまう

『…ダメなんだよ…』

前を向くと、ライトが眩しかった
目を細めて遠くを見る

千夏に応援されたんだ
裕樹のミットにボールを納めたいんだ
卓人に、負けるわけにはいかねぇんだ


いついまでも不調じゃ、ダメなんだよ…












ガチンッ

左手に、激痛が走った
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