動き出した、君の夏
「…何すんだよ」

瑞希が芦屋のネクタイを引っ張った

「てめぇチームメートに何言ってやがんだよ!!あんまり調子乗るとボコにすんぞ!!」
「調子乗って怪我したのは村松だろ」
「っざけんじゃねえよ!!!!」

瑞希の右手が、拳を作った





「まーまー!落ち着けって!!」

夕が笑いながら芦屋と瑞希の間に入って行った

「はぁ!?」

瑞希が夕の手を振り解いて、今度は芦屋の胸倉を掴んだ

「誰が調子乗ってんだよ!!ただのてめぇの僻(ひが)みじゃねぇかよ!!」
「狩野!狩野がキレなくてもいーって!!」

夕がまた、笑って瑞希を芦屋から引き剥がした

「…調子乗って怪我して、女子に庇(かば)われて幸せ者だな」

芦屋が、ネクタイを直しながら夕を睨んだ
夕は一瞬黙って、また笑顔になった

「まーな^^」
「…まぁ、甲子園は俺がヒーローインタビュー受けるから、指くわえて見てろ」

芦屋が、にやっと笑った
瑞希が舌打ちをした

「てめ…」

その瞬間





「たーくと」

芦屋の背後から、明るい声がした
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