動き出した、君の夏
「おーっ。千夏!!来てみ!!」
『ん?』

校門を出た瑞希が、テンションを上げてあたしを手招きした
校門を出ると、目の前に、綺麗な夕焼けが広がっていた

『わ…』
「すっげーっ」

凄い綺麗だった
オレンジと赤と、遠くに紫や黒が混ざっていて
久しぶりにみた凄い夕焼けだった
映画のワンシーンみたいな、何時間も待ってないと撮れないような綺麗な夕焼けだった

『めっちゃ綺麗ーっ』
「何かこんな綺麗なの久しぶりーっ」
『あたしもあたしもーっ』

笑い合いながら、校門を出て右に広がる、斜面がゆるやかで広い坂を上がっていった

「ってか…千夏と帰るのも久しぶりーっ」
『そうだねっ』
「千夏と村松がラブラブすぎるからな…あたしはいっつも1人…」
『ゴメンーっ…って一緒に帰ってたじゃん。男子と』
「あれはー!!知らないけど勝手に付いて来んの!!」

瑞希超モテるからなぁ
1人で帰ってりゃ寄ってくるわ

『モテモテじゃん?(笑)あ、でも上総君と一緒に帰ってたよね』
「ぁあ…あれは、ゲーセンでジュース賭けて勝負してた」
『わ、放課後デートみたい』
「バッカ。デートでも何でも無いから」

瑞希に頭をはたかれた

『でもさー。何かいいカンジじゃないですか狩野さん(笑』
「アホ。高田、彼女居るから」
『え、マジで!?瑞希ショックー(笑』
「バカ!高田好きになるなんて有り得ねぇから!!」

また、笑い合った

坂の中盤まで上ったところで、声がした







「…………ッくそ…」

搾り出したみたいな、苦しい声
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