動き出した、君の夏
「…あ、千夏。上」
『え?』

夕が上を指差していたから、ベンチの屋根から顔を出して上を見上げた

『…うわぁ…』
「すっげー綺麗な」

空が澄んでいて、星が綺麗だった
金よりも、白色の小さな星が何個も何百個も何千個も輝いていた

『…何かさ、去年もこの時期だったよね』
「ん?」

去年、バッティングセンターの前で告白された日の空に、似ていた

『空めっちゃ綺麗でさぁ、それで、夕もあたしも調子悪かったじゃん』
「あー…そーだな。俺等2人でスランプだったな^^;」

はは。と夕が笑った
あたし、あのときはどん底だったなぁ…
でも、沈んでないで練習してる夕に励まされたんだっけ

「あ、あとさ、去年も缶ジュース買ってたよな?」
『ぇえー?…あ、そうだったね!!あたしお茶だったけど』

それで…告白されたんだっけ

『去年の今はさ、あたし「三村」って呼ばれてたよね』
「そーだな。俺だって名前で呼ぶのはすっげぇ恥ずかしかったんだぜ?」
『え、嘘!?』

夕が!?
あの笑顔で時々黒い夕が!?
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