動き出した、君の夏
「良かったな夕!!」
『おう!!ま、試合は出られねんだけどさ^^;』
「じゃ、俺等が甲子園まで連れてってやるから、甲子園でしっかり投げろよ」
『おう。今日は悪かったな。明日も試合なのに』

明日も試合なのに、裕樹は俺の球を受けてくれた

「いーっていーって!!お前、復帰したら全部俺に任せろよ」
『ん?』

裕樹が急に真顔になった

「卓人にあそこまで言われて我慢できっか。甲子園で挽回(ばんかい)すんだかんな」
『おう^^。裕樹は頭いいから任せるわ』

それに、野球部で唯一、1年からキャッチャーとして出場してるんだからな

「俺が絶対お前の球は打たせねぇからな」

「絶対。お前と優勝すんだかんな」

『お…おう…』

俺が、ちょっとビックリして遅れて裕樹に答えると
裕樹の顔がみるみる赤くなった

「な、何だコラァ!!何か文句あっか!!」
『いやっ。裕樹がそこまで真面目にモノ言うの初めて見てさ(笑』

いっつもへらへらしてる裕樹が、こんなに勝利に貪欲(どんよく)だったとはな

「あっ…たり前だっ!!今年で最後なんだから!!絶っ対優勝すんぞ!!」
『おう!!』
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