動き出した、君の夏

観戦禁止令発令

『…あっ』

甲子園まで残り1日!!の朝
坂を下りていると、左側に陸上よりも早く部活をしている野球部が見えた

『…夕だっ…』

つい、かがみ込んで見入ってしまった

夕…相変わらずカッコイイ!!

「よっ!千夏!!」
『わっ』

瑞希に、肩を軽くぽんっと叩かれた
振り返ると、体操服を着て、スパイク袋を肩にかけて笑っていた

「早くしないと、アップ始まるよ?」
『ぇえ!!やっば!!』

立ち上がって、坂を駆け下りた
夕もだけど、あたしも全国なんだから頑張らないと!!

校門に差しかかると、野球ボールが飛んできた

『あ、ボール』
「拾うことなくね(笑」

面倒くさがりの瑞希が、そのままスルーした
ま、遅刻すると怒られるしね;

「お、村松ーっ」

瑞希が、ボールを拾いに来た夕に手を振った

「っはよっ。陸部これから?」
『うんっ』
「そっか!千夏も狩野も全国だよな!頑張れよ!!」

汗をだらだらかいた笑顔で、ボールを拾った

『うん!』
「当たり前☆」
「2日くらいで終わんだろ?甲子園見に来てな!!」
『絶対!!』



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