動き出した、君の夏

走り高跳び決勝直前

選手や顧問や、応援の人達
色んな人の足音や声で騒がしい競技場の、ずっと向こうに見える時計を目を細めて見つめた

『…』

現在の時刻、午後1時20分くらい…

『!!!!Σ( ̄ロ ̄lll)』
「どした?」

瑞希が、ゼリー飲料を飲みながら首だけ回してあたしに言った

『お、お腹痛い…』

両手で押さえていたお腹が、痛くなった

「千夏…もしかして…緊張してんの?」
『(((;゜Д ゜)))…ハイ…』
「なっさけねぇなーー」

瑞希が鼻で笑った
な、何だとう!?

『け、決勝だよ?インハイの…無理無理無理無理緊張死にする…』

だって、あと10分でインハイの高跳びの予選・決勝なんだよ?
それで緊張しない瑞希が変っ;;

「だって今更心配したって、皆の実力は変わんねぇじゃん」
『そ、うだけど…』

「…マジで緊張してんだ…ちょ、見てみ」
『??』

瑞希が呆れてあたしを手招きした
瑞希の隣に行くと、右手にケータイを持っていた
画面は、甲子園球場を映し出していた

『甲子園…』
「そ。ちょーど今2回裏」

『あ、夕と裕樹…』
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