動き出した、君の夏
『…あたし下手でゴメン…』
「んなことでヘコんでんのかー?」
『んなことっつッても…夕も瑞希も裕樹も球技できるじゃん…』
「そーでもねーよ?」
『そーでもねーよ。って…』

肩を落としたまま夕を見上げた
満面の笑顔のままでネットの向こう側をみつめていた

『夕の「そーでもない」はあたしにとって…めっちゃ上手いんだよー…』

「おーい夕ー!!千夏ー!!来んぞー!!」

ネットの前でブロックの準備をしながら裕樹があたし達に叫んだ

「お!いーぜ!!!!」

ぐいっ

『へ…』

「まードンマイっ!!」

ちょ、ちょ…

肩を抱き寄せてぽんぽん。と2回

『な、なななな…』

肩を離されてから、すぐにあたしの思考回路は停止しかけた

「ん?何かしたか?」

夕は何も無かったようにきょとんとしていた

…っの天然男…



それが、あたしの惚れた瞬間だった
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