動き出した、君の夏
『キレーだねー…』
「何か、夏ってカンジ」
『だよねー。あたし花火って今日が今年初めてだもん』
「あたしもだよー?受験生でもあるし…」
『…そーだったねー…』

また一発、今度は赤い花火が上がった

あたし達も手持ち花火を新しくして、ジュッとやる

『今年で引退かぁ…』
「野球もだけど、あたし達も寂しいよね」
『うん……』

部活に熱中しててあんまり意識してなかったけど
あたしも3年かぁ…
明日で、高校の陸上生活終わるんだね…

『…そうかぁーーっ。寂しいなぁっ』

新しい花火も、もう燃え尽きた
バケツに入れると、ジュッと音がした





「おーーいっ!瑞希と千夏ーーーーっ!!」

遠くで、裕樹があたし達を大声で呼んだ


『んー?』
「何々?」

少しだけ斜面になった芝生を踏みながら、20人(あたし達以外の陸部5人+野球部15人)に駆け寄った
裕樹がコホン。とわざとらしくセキをした

「えー。それではこれより、表彰式を行いまーっす」

2年の背番号4の明石君が前に出た

明石 健太(ケンタ)(高校2年)
【身長:169cm
 体重:59kg
 部活:野球部一軍
 ポジション:4番
 other:童顔】

「えーっと?三村先輩と狩野先輩と上総とー…北河ーっ」
『へ?』
「は?」
「え?」
「僕ですか?」

北河 命(ミコト)(高校1年)
【身長:162cm
 体重:49kg
 部活:陸上部短距離
 種目:男子走り高跳び 100m
 other:走り高跳びは全国5位】

「小っちぇなお前ーっ^^」

命君と同じ中学だった明石君が、命君の頭をぐりぐりやった

「んじゃ、本日の表彰式始めまーすっ」

裕樹がぱんっ。と手を叩いた
そして、あたし達を横一列に並ばせた

< 195 / 273 >

この作品をシェア

pagetop