動き出した、君の夏
『…へぇ!?惚れた!?あたしが!?誰に!?』

がたんっ
音を立てて椅子から立ち上がった
瑞希はそんなあたしに何も驚く様子も無く、更にニヤニヤ顔になった

「そりゃあ村松に♪」

『なっ…ななな何であたしが夕に…』

そんなキッカケは…

「キッカケはさぁ…その4時間目じゃん?」
『へ!?だってだって…肩ぽんぽんってやっただけだよ!?』
「それで惚れたんじゃないの」

真顔で良いながらストローの中身を全部吸い上げた
牛乳パックがくちゃっと潰れた

「いやー千夏って軽いねー(笑」
『か…軽くないでしょっ!!!!;』

がらがらっ

『だってあたしそんな簡単には惚れな…』

教室のドアが開いた
瑞希に反発しながら振り返る

裕樹と…ゆ、夕だっ;

「でも結果気になってんじゃん」

焦るあたしの表情を楽しんでいるのか、何か…
瑞希の声がめっちゃワクワクして聞こえるんですけど…

『べっ…つに気にしてな…っ』
「何々?何の話??」

裕樹が割って入ってきた
瑞希は更に面白くなったみたいで、後から付いてくる夕にも…ってか教室中に響く声で叫んだ

「あんさぁ、千夏がある男の子に恋をさぁ…」
『してないっ!!!!』

慌てて瑞希の口を押さえた
ばたばたする瑞希の横で、裕樹が瑞希と同じニヤニヤ笑いをし始めた
「お、面白そうな話じゃんこりゃ」的な顔

「お、面白そーじゃん」

マジだった(笑

< 21 / 273 >

この作品をシェア

pagetop