動き出した、君の夏

この日で終わりにしたくないから（夕side）

狩野が、ゴールに飛び込んだ

俺等全員、一瞬動きが止まった



裕樹が、一言

「今、1位だったよな!?」

「ぶっちぎりだろ!!」
「ってことは…優勝っすか!?」
「マジでかよ!?」



《女子共通4×100mリレー、優勝は東京都S校

　正式タイムは46.63秒であります!!》


「ぅおっ。すげぇっ」
「全国1位じゃんっ」
「じゃー今日も花火しよーぜっ」
「とーぜんっ＾＾」

カメラが、抱き合って泣いている千夏達をアップで映した
曇り空の下、皆ぼろぼろ泣いてた

「…瑞希達、今日で引退なんだよな…」
『…ああ』
「俺達も、今日で負けたら引退だ」
『…ああ』


「終わりたくねぇな」

卓人が呟いた

皆がハッとして卓人に注目した


「お、晴れて来た」

卓人が、球場の空を見上げた
雲間から、少しだけど光が差し込んだ