動き出した、君の夏
必死で走って、ベースに滑り込んだ



「アウッ」



『…く…そ…ッ』

まだ、終わりじゃねえのに
涙が出てきた

何してんだ、俺
無死満塁なんて、こんな相手でこんなチャンス滅多にねえのに

夕だったら…
ホームラン打てるのに…!!!!


交代になった
満塁だったのに、結局1点しか返せなかった
情けなかった


「おう!やったな和馬!!1点返したぜ!!!!」
「和馬先輩お疲れ様っス!!…って…和馬先輩…泣いてんスか…?」
「ぇっ…どーした和馬!?」

ベンチに戻ると、皆が驚いた
そりゃそうだ。ベンチに戻ったと思ったら泣いてんだからな

『…ゴッ…ごめ…ッ…俺…足引っ張った…ッ』



皆が黙り込んだ



「何言ってんだよ和馬っ!!」

夕が、俺の頭をわしゃわしゃ掻いた
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