色紙と一雫
風邪薬
「…薬、飲めよ。」

義理の弟は返事をしない。
近くにある風邪薬を一粒手に持ち俺に近付いた。

「ありがとう…奨兄さん。」

初めて礼を言われてし、名前と兄って言われた。
嬉しいより、不気味だと思った。気持ち悪いと思った。
おそらく、義理の弟は自分のせいだと思っている。
おそらくと言うか、確信に近い。

「おう…」

そう思いながら返事する俺にも違和感がある。

目の前で風邪薬を飲む義理の弟が憎くて哀れでどうしようにもない。
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