色紙と一雫
少し多めに入れたお茶が飲み干されていて少し安心する。
別に理由は無かった。ただ風邪薬を飲んだ、飲み込んだっていう確信。
後は、これを飲んだ母が死んだから義理の弟も死ねばいい。
とか思ってしまってる俺を落ち着かせるだけ。

「…奨兄さん、飲まないの?」

「…飲むよ。」

俺はお茶で落ち着かせるはずだった。
なのに、義理の弟に落ち着いた。
何でか、そんな俺が信じられない。

一気に飲み干そうとした。
義理の弟へのちょっとした対抗意識。
認めたくない一心で。
ちゃんと飲めた。
酸素を肺へ送る為にコップから口を離した。
でも、そんな新鮮な空気は無くて、吐き気がした。
目の前に死んでいるのか寝ているのか分からない母を見て。

「うっ…ぷ。」
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