色紙と一雫
時間
気持ちが悪い、何で義理の弟は数分も居れた?
吐きたくても吐けない気持ちから逃れる為に目を逸らした。
本当に…どうしようもないな。

「ごほっけほけほっ…」

「え、どうした?薬飲んだよな?」

義理の弟の咳払いに何故か焦った。
もし死んでしまったら…とか少しでも考えたからだ。
何で考えたのか、今頃自問自答する脳内。

「大丈夫…それより、警察…」

一歩一歩がふらふらで俺の精神をどんどん削っていく。
こんな奴、心配してもメリットも得も何も無いはずなのに。
俺は今までのように見返りを求めて支えてやった。

「…ごほっごほっ…風邪引いちゃうよ。」

義理の弟は俺の心理を全く考える事をしない。
風邪をひくことより、義理の弟を失う方が…
失う方が…何だ、これ?

それから、優しく手を払った。
嫌な感じもしない、優しくて温い手で。
体温が高いのは、生まれた時から変わってない。
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