おでこにキス。
『いつ、行くの?』


『……来月の始め。』


『すぐじゃん。突然すぎるよ、もぅー。』



『ごめん。』


どうせ、置いて行かれるなら早く別れてしまいたい。


だって、別れがくるのなら昴に会ってもこれからは切なく、悲しいだけ。


これ以上、昴との思い出を増やしても意味がないよ。


『……今日でお別れにしよう。もぅ昴といても、辛いだけだから』


この公園で、二人並んで座ったブランコから立ち上がり、私は昴の方を見ずにそう言った。


夕陽に染まる街をぼんやり見ていた。


あの時、昴はどんな顔をしていたのだろう?


ただ、引き留める事もなく、待っていて。なんて言うこともなく。


『わかった。』


そう言った。


昴も立ち上がり、私の手を引き向かい合わせになる。


『……最後にキスしていい?』


別れのキスをした。


最後のキスは、初めてのキスと同じ。


おでこにキスをした。











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