おでこにキス。
「この5年。本当に必死にやってきた。始めは馬鹿にされることばかりで辛い時もあった。

でも、梨子を残してきたんだ。挫折するわけにはいかなかった。


本当に死に物狂いだったよ。」


昴は、揺らしていたブランコを止めた。


「イタリアのコンクールで賞をとったんだ。これでやっと、建築家として、仕事していける。」



「……梨子は?この5年間、何してた?ひょっとして、もう結婚とかしちゃった?」



昴はそう言って笑うけど 、とても不安な感じ が伝わってくる。



「私はまだあの会社で働いてるよ。もう5年目。後輩もできて毎日忙しくしてる。」


「……結婚はしてないけど。」


「まじかっ!はぁー良かった。結婚してたらどうしようかと思った!」


「あーでも、彼氏がいたり?」


「残念ながら、今はいません。」


昴は嬉しそうに微笑むと
ブランコから勢いよく立ち上がり、背伸びをした。


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