新選組と最強子供剣士
僕と立が部屋に入る。
 

すると土方さんの動きが止まった。


立を凝視しながら固まった。


「剣壱」


「はい?」


「そいつはあの芸姑、か?」


「そうだけど?」


じーっと立を見つめる土方さん。


何かと葛藤しているようにも思える。


「いや、新選組って女人禁制だから男装してもらったんだけど。普通の方がよかった?」


「いや、男装してくれたのはありがたいんだ。
ただ一瞬、そいつが男か女かわからなくなっただけだ」


土方さん、かなり失礼なこと言ってる自覚があるんだろうか。


まぁ立にとっちゃあ褒め言葉だろうけど。


「取りあえず部屋は確保した。今日はもう遅いからそこで休め。明日の朝、ここにこい。場所は山崎の部屋の隣だ。剣壱、案内しろ」


「了解。立、行くよ」


「はい。では、失礼いたしました」


土方さんの部屋を出て、立と廊下を歩く。


そして僕達は同時に止まった。


「隊長、あれは本当に新選組の鬼ですか?」


「そうだよ」


ショック!というような顔をする立。


なんだろう?イメージと違ったのかな?


「そうなことより、感じているよね?」


「あたりまえです。そこまで腕は衰えておりません」


立と話しているのは、視線の話し。


監視が立につけられている。


「なめてるんですかね?ものすごく下手くそなんですけど」


「まぁ立にとっちゃあそうかもね」


立は未来ではスナイパーの役割をもつ殺し屋。


そして、それ以上に得意なものはスパイとして相手のところにおもむくこと。
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