新選組と最強子供剣士
剣壱にあれだけ甘えていた叶が、恐怖を感じたのか剣壱から離れた。


「山南さん、何か勘違いしてるんじゃない?」


口調は変わっていない。


だが、明らかに何かが違った。


「僕は別に新選組が無くなっても多少困るだけで、それほど苦じゃない。でも、山南さん達は違うでしょう?

僕は、新選組には新選組のやり方があると思うから、口出ししてないだけなんだよ。

僕の意見を新選組が聞くか聞かないかは別として、僕が何も知らないと思った?」


そこまでいうと剣壱は一度言葉をきった。


そして溜め息を吐く。


しばらくの静寂が場を満たした。


ふと、山南と剣壱は、廊下から気配がして目を向ける。


「山南さん、土方と総司だ」


廊下から聞こえてきた土方の声。


山南は剣壱に一度目線を戻して、それから土方に声をかける。


「どうぞ」


部屋に入った瞬間、土方は一度驚いてから剣壱を睨みつけた。


「てめぇ、なんでここにいやがる」


威圧的な声に対して、剣壱は何も言わなかった。


少しの間があき、剣壱は山南に目を戻してから立ち上がる。


そしてさっきと変わらぬ口調で言った。


「僕と話したかったら、もう少し頭を使うことだね。今は話しても意味はないみたい」


話にならない。


そう吐き捨てて、剣壱は山南の部屋を出て行った。


それを呆然とみた後、山南は土方と沖田に目を向ける。


二人共眉間に皺がよっていて、山南は思わず苦笑いをした。


「土方君、沖田君、何かご用ですか?」


「え、いや‥‥‥上から命令がきたんだ」


土方のその言葉を聞いた途端、山南は表情が消えた。
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