新選組と最強子供剣士
黒く染まった者
いつからでしょう?
リーダーと一緒にいたいと思い始めたのは。
初めて会ったリーダーは、私よりも小さな子供だった。
それでも、私よりも大人な目をしていた。
「ここですわね」
目的地につき、私はその建物を見つめる。
呉服屋『花服』
確か、リーダーから頂いた簪もここの商品だとか。
今の持ち物は傘と明かり用の手持ち提灯。
バンバン
「すみませーん、どなたかいらっしゃいませんか!?すみませーん!」
決して上品ではない。
戸が壊れない程度に叩き、大きな声を出す。
そうしていると、中から足音が聞こえてきた。
「なんだ!?こんな時間に!?」
戸が開いたかと思うと、不機嫌の男性が出てきた。
まぁそうでしょうね。
今の時間帯は約2時過ぎでしょう。
「すみません。実は、夜に散歩をしていると迷子になってしまいまして」
そう言って傘を肩に掛け、自分の顔が見えるようにする。
大雨で少し濡れた髪。
男の姿をしているが、問題はないでしょう。
困ったような顔で、少し微笑む。
すると男は顔を赤くした。
「あんた、どこのもんだ?」
「最近京の街に来たのですが、宿がわからなくなってしまって。大雨ですが、空いている店もあるわけもなく困っているのです」
「そりゃあ災難だなぁ」
「お金はこれだけあります。すみませんが、一晩泊めてもらえませんか?」