新選組と最強子供剣士
正直、ここの鍛冶屋にはもう興味がない。


「坊主、その刀は?」


「さっきから坊主坊主って‥‥‥‥坊主じゃなくて剣壱だよ、仲代さん。それに小太刀だし‥‥‥」


「小太刀も刀だろ?」


「まぁそうだけど‥‥‥これは僕のだよ」


「ほぉ?」


「僕、新選組でお世話になってるから」


子供の癖に‥‥‥とでも思ってるんだろう。


この人、なーんか好きになれない。


暑苦しいし、何か嫌な感じがする。


なんで分かるか?


そう聞かれたらすぐに返事ができる。


『目がそう言ってるから』


これだ。


人間って、7割は目から情報収集してるし。


それにしても暑いなぁ。


もう9月だけど、こうも人が集まってたら流石に暑い。


僕はなるべく鍛冶屋の入り口側に立つ。


「あら?剣ちゃん?」


不意に、聞き覚えのある声がした。


声の主、そして呼び方。


僕はすぐに逃げたい衝動に駆られた。


まぁでも、無視するわけにはいかない。


後ろを振り返ると、お梅さんが笑顔でこっちに来る。


「わぁ、お梅さん!奇遇だね!」


「本当ねぇ」


本当にこの広い街、それもこの人だかりでよく出会ったものだ。


めんどく‥‥‥ゴホゴホ、失礼。


「お梅さん!会えて嬉しい!」
< 288 / 416 >

この作品をシェア

pagetop