新選組と最強子供剣士
いやいや、なに考えてるんだ僕。


「そんなことより!最近、芹沢さんとはどうなの?」


「‥‥‥‥」


顔は赤いままだけど、お梅さんは少し目を伏せた。


おや、何かあったかな?


「私、芹沢さんに何もできないの」


「?」


「あの人、何か悩んでいるみたいなの。だけど
‥‥‥私には話してくれないの」


「それは、お梅さんに迷惑を、心配をかけたくないからじゃないの?」


「わかってるのよ。あの人は、不器用だけど優しい人だから。それでも、私にだって何かしてあげたい。芹沢さんの‥‥‥力になりたいのに‥‥‥‥」


「何もしてあげられない?」


「‥‥‥‥」


悲しそうな顔をするお梅さん。


ふーむ、なんとも‥‥‥‥


お梅さんは、芹沢さんが本当に好きなんだな。


「ねぇお梅さん、芹沢さんが死んだら、どうする?」


唐突に、僕はお梅さんに問いた。


目を見つめ、真剣な面もちでハッキリと声を出して。


「芹沢さんが、死んだら?」


「そう。新選組の印象は、この京でいいものなんかじゃない。『人斬り集団』なんて言われてるくらいだよ。

洗濯物に血が着いていることがある。怪我をして帰ってくる人もいる。芹沢さんが死なない保証なんてない」


「‥‥‥‥」


芹沢さんの死を想像したのか、真っ青な顔をするお梅さん。


だけどその後、強い目で僕を見て言った。


「あの人が死んだら‥‥‥私は多分、生きることが出来なくなるかもしれない」


「死ぬ?」
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