新選組と最強子供剣士
政治に関してはまだ子供同然。


芹沢は、剣壱のことを知らない。


普通の子供ではないということしか。


「‥‥‥小僧、貴様は未来ではどうだった?」


「どういう意味?」


「わしは、未来で生きる気力を失っていた。愛する者を失い、ただ家が‥‥‥わしが若頭だからレールのひかれた道をただ歩く。

そんな何も変われない自分が嫌で、わしは家を出た。そんな時、わしはここに来た。お主は何故ここに来たのだ?」


質問をした瞬間、剣壱の目から光が消えた。


コロコロと変わっていた表情が無表情になる。


冷や汗が出た。


自然と手が剣に伸びる。


「‥‥‥フッ」


子供は鼻で笑った。


「何故ここに来た?それは僕が聞きたいくらいなんだけどね」


「どういうことだ?」


「僕は神様に無理やり連れてこられた。芹沢さん、回りくどい質問はいらない。僕のことが知りたいんだろ?」


「‥‥‥‥」


「冥途の土産に教えてあげる。僕はね、未来で殺し屋をやってるんだ。ヤクザの若なんだろ?
国の殺し屋。存在くらい知ってるよね?」


国の殺し屋。


確かに、芹沢はそれを知っていた。


(なるほど。殺し屋だったか‥‥‥‥)


この子供の行動は、全て裏の世界でつけられたもの。


そして‥‥‥どこか狂っている理由も。


自分よりも深い絶望を知っているような目だ。


芹沢は神経を奮い立たせる。


「冥途の土産か。なんだ?その小太刀で、わしを斬るか?」
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