新選組と最強子供剣士

沖田は雨の中、猫を抱えながら走っていた。


フラフラとした足取りで、顔は酷く青い。


それでも懸命に小走りだが走っている。


(早く、早く土方さんのところに‥‥‥)


八木邸が見えてきた。


ドクドクとやけに心臓の音がうるさい。


早く、早く‥‥‥


グイッ!


「あっ!?」


突然、どこからか腕を強く引かれ、沖田は路地裏に入った。


口を塞がれ、声を上げようとする。


「静にしてください」


聞こえてきた声は、聞き覚えのある女の声だった。


チラリと上を見れば、顔を黒の布で隠している立花の姿。


「立花ちゃん?」


立花はどこか険しい顔で、ある方向を静に見ている。


その目線を辿ると、4人の男が少し先の路地裏にいるのが見えた。


沖田は大きく息をはいて、自身を落ち着かせて息を吐いた。


「あれは?」


「恐らく、長州藩の者ですわね。あの1番背の高い方は見覚えがありますの」


こんな暗闇、それも大雨の中でも離れた相手の顔が見ていることに沖田は驚いた。


「沖田組長、私はあの者たちを対処しますわ。
少し遠回りですが、こちらの道から屯所に戻ってください」


「え、対処って‥‥‥」


「早くしてくださいません?」


氷のような冷たい笑みが沖田に向く。


思わず頬をひきつらせながら沖田は頷き、立夏から背を向けた。



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