新選組と最強子供剣士
聞こえてきたのは、男の声と少し高めの青年のような声。


これは‥‥‥立の声だ。


少し声を低くして、おそらく誰かと鬼ごっこか何かをしているのだろう。


「ククッ、」


笑い声がもれた。


立も頑張ってるんだなぁ。


それじゃあ‥‥‥


「リーダーの僕はもっと頑張らないとねっ」


壁に手をつき、立ち上がる。


フラフラするが、動ける。


僕は懐から笛を取り出した。


足音が聞こえるんだ。


笛の音も聞こえるはず。


「♪〜♪〜」


音という名の信号を、吹いてすぐさま路地裏に入る。


さぁ、動け、僕!


なるべく足音を立てないように、小走りでその場から離れた。


周りの景色が酷くボヤける。


雨は嫌いじゃない。


自分の全てを洗い流してくれるから。


そして‥‥‥夜空に浮かぶ忌々しく輝くモノを隠してくれるから。


「ハァ、ハッ、ハッ、」


暗闇は嫌いじゃない。


僕を隠してくれるから。


景色が見えないから、見たくないモノを見えなくしてくれるから。


「ハッ、ハァ、ハァ〜」


八木邸の入り口についた。


深く息を吐き、ゆっくりと息を整える。


それから‥‥‥ゆっくりと刀を抜いた。



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