新選組と最強子供剣士
隊士はうつ伏せで倒れている芹沢を抱き上げる。
そして絶望を露にした。
目を閉じ、どこか穏やかそうな顔で動かない。
死んでいる。
確信し、隊士は静かに涙を流した。
「‥‥‥」
「っ!剣壱、来るな!」
足音が聞こえ、とっさに隊士は声をあげた。
子供が見ていいものではない。
だが、少年は部屋に入った。
「‥‥‥死ん、でる?」
掠れた声で、少年は聞く。
隊士は空っぽの少年から目を反らし、ただ顔を歪めただけだった。
「剣壱」
「‥‥‥」
「頼む、教えてくれ」
「‥‥‥」
「何を、見たんだ?」
沈黙が漂った。
大雨と、血と、嫌な空間。
隊士の額から首へと汗が流れる。
しばらくして、少年は口を開いた。
「黒い人」
「黒?」
「2人いた。芹沢さんを斬った」
「っ!」
「僕、動けなかったんだ」
少年の右目から、一筋、涙が静かに流れた。