新選組と最強子供剣士
あの時‥‥‥土方さんと山南さんが去った後、駆けつけてきたのは七郎だった。
嘘は‥‥‥1言も言わなかった。
死んでいるか聞いたのは、芹沢鴨の生存を確かめるため。
土方さんと山南さんは黒い格好をしていた。
どこに行ったのかは、想像はできるけど知らない。
そして、七郎を追わせなかったのは‥‥‥
あの時、七郎が追うとしたならば。
土方さん達を見つけたならば、すぐに僕は七郎を殺していただろう。
刀を持っていなくとも、人を殺すことをいくらでも教えられている僕にとっては容易い。
七郎に死んでほしくなかったのも本当。
動けなかったのも‥‥‥本当なんだ。
芹沢さんが僕に斬りかかってくる時、動く必要は確かになかった。
土方さんと山南さんが殺してくれるから。
でも‥‥‥なぜか身体が動かなかったのも事実。
なんでだ?
なぜ、動かなかった?
「それは、あなたが芹沢鴨とお梅を少なからず大切に思っていたからでは?」
「っ!」
とっさに持っていた刀を抜き、声の方に向かって刀を振るう。
だが、それは声の主によって止められた。
‥‥‥指先2本で。
「なっ!?」
「お久しぶりですね、剣壱さん」
「コウ、さん‥‥‥」
そこには、いつ来たのか神々しい雰囲気を纏った神様がいた。
「刀をしまってください。少し話しましょう」
「‥‥‥」