新選組と最強子供剣士
コウさんに言われた通り、僕は刀をしまう。


言いたい言葉は山ほどあったはずなのに。


声が‥‥‥思うように出ない。


「どうですか?江戸は」


「別に‥‥‥馴れたし、快適だよ」


「それはよかったです」


コウさんはそう言うと、芹沢さん達の墓に目を移す。


それからもう1度、僕と目線を合わせた。


なんでも見透かしたような瞳。


すごく‥‥‥不愉快だ。


「僕が大切に思っていた?芹沢さんを?」


「彼らの心を知り、触れ、あなたは知らぬ間に彼らに仲間意識を持っていた」


「バカな。僕は土方さんに言われて芹沢さん達に近づいたんだ」


「それでも、それが事実なのでは?」


「ハッ、そんなわけない」


あり得ない。


ターゲットに心を許すはずはない。


そんなことをしていれば、僕はとっくの昔に死んでる。


裏の世界は、そこまで甘くはない。


「あなたは殺し屋に向いていない」


「っ!?」


「あなたは人の心を見抜く才がある。相手がどういう者なのか、何を思っているのか」


「殺し屋に‥‥‥向いていない?」


「そして、本質的にいい人を見抜いてしまう。
そういう者を殺すことに、あなたは心をいつも痛めているようです」


「知ったような口を聞くな。殺し屋に向いていなくとも、僕は、殺し屋になることを選んだんだ」


そう、あの時に。


僕から1番大切なモノを奪った、あいつに。


「お父上の仇、ですか?」
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