新選組と最強子供剣士
斎藤さんの言葉に周りはざわめく。


原田さんが斎藤さんに反論した。


「一!いくらなんでも無理だろ。確かに剣壱は強いが、お前には勝てない」


「別にそれでも問題はない。大事なのは剣壱がどれほどの使い手であるかだ」


「だが‥‥‥‥」


「審判はいらない」


斎藤さん、何が目的なんだろう?


ただ単に僕と戦いたいだけじゃないだろう。


何か探るみたいな目で僕を見てるし。


斎藤さんは、一見してあまり表情はかわらないが表情は読みやすい方だ。


無表情の中にちゃんと喜怒哀楽があるから。


作りものの僕の表情とは真逆。


斎藤さんと試合か‥‥‥‥


やってみたいけど、リスクも高いな。


楽しくなっちゃったら、手を抜くの忘れちゃうかもしれない。


「剣壱」


「はい?」


「本気でこい」


強い意思のこもった声。


ふむ、手加減するのは失礼か。


でもな~手加減しないと勝ちそうなんだよね。


「そうだ!」


「どうした?」


「斎藤さん、ちょっと‥‥‥」


手招きをして、斎藤さんをしゃがませる。


そして僕は耳元で斎藤さん以外聞こえないように言った。


「僕に本気、出させてみせろよ」


「っ!?」


試すように僕は言った。


今の言葉は作りものじゃない、本当の僕。


仕事でしか出さない姿。


驚いて僕から離れた斎藤さんの目には静かな炎が宿ってる。
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