よるにひとり
ふたり
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ドアホンの音が鳴る
耳のうらではまるで救急車のサイレンが響いているかのように
ざわざわと好奇心が音を立てて騒がしい
今度は本当に私の家に来たのだ。
急いで玄関へ向かう
ドアの外には少し息を切らした彼が立っている。
「“いいの?”ってなんだよ」
外が寒いのも忘れて
私は小さく笑った。
彼は不思議そうに見つめる。
「いや、なんでもないの。
ただ、おいしいリンゴがあったんだけど」
「食べなくていいのかな
って思っただけなの」
そしてまた小さく笑う。
「今夜は泊まっていって」
彼を中に入れながら言った。
「あぁ、うん。そうするよ」
新しく取り出したリンゴをむいて
テーブルに皿を置く
「本当はね......」
テレビをつけてマフラーをたたみ直す。
「ん?」
髪の毛についた雪を払いながらリンゴに手をのばす。
会えなくて “いいの?”
彼が一口林檎をかじる