琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
慌ただしく部屋に戻ると、サイラス様はふぅと息を大きく吐きました。
見つからず部屋に戻ることが出来て安心したようでした。

「ありがとうございます、フィオナ様。もう大丈夫です」

「・・・で?話の続きを聞かせてくれませんか?」

部屋から出ようとするサイラス様の腕をがしっと掴み、サイラス様の顔を見据えます。

どさくさに紛れて、話さないのは許しませんよ。
素直に戻ったのだから、教えてもらわないと。

「・・・そうでしたね。クリネア様は殿下の婚約者なのですが、これはあくまで親同士が昔に口約束だけで決めたもので、正式なものではないのです。その、殿下は、小さい頃からクリネア様に虐められていて・・・。国王様達はそんな光景を仲睦まじいものと、見ていたみたいですが」

「はぁ・・・」

「ですから正式に決まる前に、結婚相手を探していたのです。そして、あなたを選んだ」
「・・・仲が良くない割には毎日来ていらっしゃるけど?」

「クリネア様は、・・・なんと言うか、その、殿下を困らせる事がお好きなようでしてね。今回も嫌がらせの為に来ているのでは、と」

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