琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
「・・・貴女には想う方がいましたね。辛い気持ちはよくわかります。ですが、それは時と共に癒されるもの。必ず立ち直る事が出来ますよ」

知らない間に涙が頬を伝っていました。
サイラス様はまたハンカチを取り出し、私の前に差し出します。
流れる涙は、そのハンカチにすうっと溶けて消えていきました。


「・・・サイラス様も、そのような辛い思いをされた事があるのですか?」

「そうですね、長く生きていれば・・・」

そう一言だけ漏らすと、切なそうな表情を浮かべながら空へと目線を向けました。
想いの届かなかった、愛しい相手を思い出しているのでしょう。

想いが叶わない事が、こんなに辛く苦しいものだとは知りませんでした。
この想いも、いつかは笑って話せるようになれるのでしょうか?


「ハンカチ・・・今回のは洗って返しますね。いつも申し訳ありません」

「いいのです。辛く、苦しい時は涙でその想いを流してしまえばいい。流した分だけ楽になりますよ。・・・さて、フィオナ様、お部屋に戻りましょう」


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