琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
(鳥の丸焼きがあるじゃないの!今日の夜会は来て正解だったわ!)
心の中でそう叫び軽くガッツポーズをしました。
ナイフを使いごそりと削いで自分の皿に移すと、フォークを突き刺し肉を口に運びます。
・・・・なんてジューシーなんでしょう!
溢れる肉汁が口の中で踊るようです!!
私の名前は、フィオナ・エリム・グラフォート。
グラフォート伯爵の娘でございます。
今年で18歳になります。
伯爵、と言っても名ばかりの爵位でありまして、実際は落ちぶれた貧乏貴族。
普段は庶民が着るドレスに身を包み、貴族らしくない生活をしておりました。
私には5つ上の兄がいたんですが、私が13歳の時に庶民の女性と恋に落ち、駆け落ちしました。
・・・思えばこれが貧乏貴族になる決定打になったのかもしれません。
兄には婚約者がいたんです。
家を援助してくれる予定だった侯爵家の令嬢が。
ところが、まさかの駆け落ちです。
もちろん婚約は破棄になるし、援助はしてもらえないし。
家の評判もがた落ち。
兄がいなくなったことで母は腑抜けになってしまうし、父もやる気をなくしてしまい碌に仕事もせず泣いてばかり。
評判が落ちた為、私への縁談も全く来なくなり・・・。
そんなわけで少しでも家計の足しに、と昔から通っていたカフェの店主にお願いして働かせて貰っていました。