琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!

そう言うと、サイラス様の顔からふっと笑みが零れました。


あ。

・・・笑った。

目つきの悪い騎士が笑った。



あんなに怖い顔だったのに。
なんて優しそうな笑顔なんでしょう・・・!

ギャップというのは恐ろしいものです。
思わず私の心が高鳴りました。

その高鳴りはうるさく鳴り続けます。


「では今日はこれで。また話をしよう。リリアナ」

サイラス様は立ち上がると、私の手を握りました。
私の手の中には代金が。

私は思わず驚いた顔で見上げます。
その顔にサイラス様は笑い、そしてお店を出て行かれたのでした。

私はその場に立ち尽くします。

握られた手が熱い。
そして顔も。

心臓もうるさいし。


あれ?・・・もしかして、私・・・。もしかして・・・?





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