琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
扉を叩く音と共にグリムの声が聞こえます。
「お嬢様?起きてらっしゃいますか?」
その声に我に返り、軽く寝乱れた髪を手で直すと扉を開けました。
「おはよう、グリム。昨日はごめんなさい」
「おはようございます、お嬢様。昨日はお疲れのようでしたね。長い時間働いていらっしゃったから仕方のないことですが。あまり無理をなさらないで下さいね」
「ありがとう、私は大丈夫よ」
「ささ、朝食の準備が出来ております。食堂へ」
私が小さい頃は5人程いた使用人も、今ではグリム1人。
グリムは食事から、屋敷の掃除、私達の送迎までなんでもやってくれます。
お給金も大して出せないのに、ここまでやってくれて本当に申し訳なく思うと共に、こんな落ちぶれても見捨てず使用人をしてくれることに、とても感謝しているのです。