琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!

食堂の中はカチャカチャという食器の音しか響かない、静かなもの。

早くこの場から去りたい私は、ひたすらに食べ物を口に運びます。
この場に長く居ると気が滅入ってしまうから。


こんな家族にしてしまった兄は今、どこにいるんでしょう。
手紙ひとつ寄越さない、兄。

生きているのか、死んでいるのか。
それすらもわからない。



・・・まああの兄の事ですから、死んでる事はないでしょうけど。

好きな女性と幸せに暮らしてるんでしょうね・・・。

本当に・・。
私達の気も知らないで・・・。



食事を早々に済ませ、軽く湯浴みをして仕事へ行く準備をすると、用意されている馬車へ乗り込みカフェへと向かいます。

今は仕事をしている方が気が安らぐし楽しい。
何も考えずに済むから。

それに・・・。


「サイラス様・・・・」

あの笑顔に、会えるから。


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