琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
「疲れた・・・」
ぼそりと一言、無意識に言葉が出てしまいます。
カフェで働いていたって、こんなに疲れた事などなくて。
疲れたとしてもそれは肉体的な疲れで、こんなに精神的な疲れなんて早々経験した事はなくて。
身体が鋼のように固くなって、倒れた姿勢から動く事が出来ません。
ぼんやりと、瞳には天井が映されています。
"私の事を好きになって欲しい"
頭の中で繰り返される、リューイ様の言葉。
心の中にまだサイラス様がいるのに、私はリューイ様を想う事が出来るのかしら。
サイラス様を忘れる事が出来る?
リューイ様を好きになれる?
自分に問いただしてみても、答えは出て来る事はなく・・・。
「サイラス様・・・・」
そう呟いて、貰ったハンカチを胸元に当て目を瞑りました。
今はこのハンカチだけが、私の心の拠り所。
ふかふかの布団に包まれて、徐々に薄れてゆく意識。
その曖昧な意識の中で、優しい笑顔で佇むサイラス様の姿が見えたのでした。