琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
お腹を押さえながらその椅子に座ります。お腹は未だぐきゅうううと鳴っていました。
リューイ様が椅子に座ると、グラスにワインが注がれます。

「さ、頂こうか。遠慮なく食べて。フィオナはジュースだ、安心して飲みなさい」

「は、はい。では・・・頂きます」


お淑やかに食べようと心掛けましたが、止まらないフォークの往復。
マナーなんて関係ないと言わんばかりに口に運んでしまいます。

侍女達は私を見て少し引いていたように感じますが、そんなの知ったこっちゃ無いです。
こんな美味しい料理を目の前に、冷静でいられるもんですか!

この料理を毎日堪能出来ると思うと、なんだかんだでこの城に来たのは正解だったわ・・・!


「・・・うぐ?」

向かいから一際強い視線を感じ、フォークを持つ手を止め目線を上げると、そこには満面の笑みでこちらを見ているリューイ様の姿がありました。

「その顔だ・・・。その顔を間近で見たかった」

「・・・そんな、まじまじと見ないで下さい・・」

今の私の姿は、飢えた動物がようやく食事にありつけたような、野生的な姿だと思うのですが。
そんな姿になんの魅力があると言うのですか。

本当、不思議な人だわ・・。


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