恋して 愛して 乱して
「……嘘だろ…」
医療クラーク 【高木真央】
ドクンドクンと脈打つ。普通のドクターはきっとこの心拍数だと危険だというだろう。
どうしてここに…
なんで…
『杉村先輩っ!』
蘇るのは無邪気に笑う彼女。俺のある事情で………別れることになってしまった、大切な人。
「…真央……」
俺は書類を鞄にしまい、足を進めた。
かつての彼女を探しに。
ドクンドクンと鼓動は打ち付け、許されぬ期待が俺を巡る。
会いたい
だけど……
それは階段を降りたすぐの廊下で。
「いた」
見つけてしまったんだ。
見たくない、光景と共に。
****