恋して 愛して 乱して
チームを把握しようと名前をたどる。自己紹介したからわかる人はわかるが実力はわからない人が多数で。少し緊張を覚えながらも俺は以前勤務していた病院の院長を思いながら深呼吸をした。
大学を出て3年とはいえ、まだ俺は未熟だ。気を抜いてはならない。
再び名前の欄をたどる。
「ぇ…」
トクンと胸が音を鳴らした。最後に書いてある、" 高木真央 " の名前に。
どうして真央が…
そう思っていたとき、あることを思い出した。以前勤務していた病院で話題になった話の中で、ドクターズクラークの資格を持った奴が。
『資格を取るとき、僕ともう一人、高木真央さんっていう女性だけが受かったんですよねー』
その男は真央に惹かれているのは見るからにわかり、正直イライラした。
ドクターズクラークの資格を持っている真央はきっと、いや確実に俺の下で今回は仕事をするはず…
ある角の前で足を止めた。なぜならこの前見た男が真央の腕を引いて男性更衣室に入って行ったから。
あいつ…
今の真央の彼氏なんだろう。大体は想像できる。だから邪魔はしたくない。
だって俺は
あくまで真央の元彼だから…
身体中を巡る黒い影が鬱陶しかった。