恋して 愛して 乱して



よかったですね、先輩

1人座り、楽しげな円を見つめていた。

あんなに近くにいた存在が、こんなに遠く感じるんだ
不思議だなぁ…

心の中で苦笑する事しか出来なかった。応援しなきゃと思った。

「「「杉村センセ〜〜」」」

甘い声で呼ぶ看護師達。

「さっき、個人的に質問して良いって言ってたじゃないですかぁ」
「あぁ、言ったね」

白い艶やかな肌をして、大きな瞳をした、胸の大きい華奢な可愛らしい1人の看護師が先輩に身を寄せた。

「ご結婚してるんですかぁ?」

先輩はハハッと笑った。

「してないよ」

軽く流し喜ぶ看護師。内心私も安心してしまった。

「そっかぁ……」

可愛い看護師が一瞬私の方を向き、目が合った。

えっ…

「……わかりましたぁ、ありがとうございます!」

看護師達は顔を赤くしながら、退出した。可愛い看護師の子も…

なんだろう…
今の…

あの看護師の瞳は何かを企んでいるとしか見えなかった。

なんて言う名前の子だったっけ…
あ、そういえば彩ちゃんなら知ってるかもしれない
あとで彩ちゃんに…

「ほら」
「ふぁっ!」

一つに束ねた髪を何者かに後ろに引っ張られ、後ろにそれる。視界に入ったの杉村先輩で。

「杉村先輩…」
「ん?」
「あっ……」

しまった…
私……

「すっ、すみません…」

勢いよく立ち上がり頭を下げた。

どうしようどうしようどうしよう…
私……

「……行くぞ」
「…はい」

私は少し間を空けて先輩の後ろに続いた。嗅ぎ慣れた匂いに、ドキドキなる胸が苦しかった。






先輩……






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