恋して 愛して 乱して
お昼になって、2人ずつ交代で昼食を摂る。たまたま今日は宮澤さんと一緒に昼食を摂った。昼食を摂る際 、更衣室に附属している食事を摂るための広いスペースで食べる。更衣室はシャワー、トイレ、洗面所、冷水機があり、食事をするところの近くには自動販売機まである。
「あ、ナースちゃんたちだ」
宮澤さんが声を掛けると、若いナース3人が頭を下げてお疲れ様ですと声を合わせた。ここの附属している大学の卒業生である宮澤さんは、この3人のナースが実習に来る時、いつも見守っていた先輩らしい。
ドカッとソファーに座った宮澤さんはお弁当をテーブルに広げた。
「わぁ…きれい」
「そうかしら?」
やっぱり、家庭を持ってるとこうなるのかな?
色とりどりに飾られた具材が眩しく、宮澤さんに対する尊敬が増す。
私も家庭を持ったら、綺麗なお弁当が作れるのかな…?
「それにしても真央、あなた…」
「はい?」
私はコンビニで買ったおにぎりとサラダとミルクティー。いつもと変わらない。
「作らないわけ?」
「…スミマセン」
呆れた宮澤さんは笑いながら、そのうちそのうちと言った。
うぅ…
何とも無念…
料理ができない私は、もう作ることを断念しているのだ。高校時代、お料理同好会に所属していたのにも関わらず、できない料理。
高校時代……
「そんでさー……」
話す宮澤さんの声も、あまり耳に入らなかった。
楽しかったはずの高校生
でもそこで私は選択を間違えたのかな
高一だった、私は……
「…真央?」
宮澤さんが心配そうに私を覗く。私はハッとしてミルクティーの喉に流した。
「顔色、悪いよ?」
「だ、大丈夫です」
よう言って笑ってみせるけど、宮澤さんは不安そうに眉を下げている。
「…なんかあったら、言いな?」
「大丈夫ですよ」
呆れて笑った宮澤さん。
どうしよう
空気が悪い…
何か話さなきゃっ…
「そっ、そうだ、宮」
「あー!それ知ってる知ってる!」
私の声はナースの子にかき消された。その声にびっくりした私と宮澤さんはナース達を見た。