ウソ夫婦
引きずられて、炎が遠のいていく。
「あーあ、飛行機を一機、無駄にしちゃったじゃない」
女は腕を組んで、暴れるあすかを眺める。
「颯太を助けてっ。お願い、助けてっ」
あすかは夢中で女にすがりついた。
「何言ってるの? もう死んじゃってるって」
女が笑った。
「やっかいなことが、一つ減ったわ。さあ、行きましょうか」
女が男たちに合図をすると、あすかは女から引き剥がされ、担がれる。
追いかけてくるって、言ったわ。
絶対に守るって、言ったわ。
わたしの返事を、聞くって、
そう、言ったもの。
ドーンッ。
飛行機が最後の大きな爆発に、燃え散る。真っ赤な炎が、空を染めた。
「いやーっ!!」
あすかは泣きながら、叫び続けた。