ウソ夫婦
「わたしはラッキーだった。研究チーム全員を殺したと思っていたが、君が生き残った」
あすかは一歩下がろうとして、女に腕をぎゅっと掴まれた。
「なんとしても薬を完成させたい。乃木さんが思い出してくれたのなら、安心だ」
キャリーは脇に一歩下がり、研究室への扉へとあすかを促した。
「全部、吐かせろ」
キャリーが言うと、「もちろん」と女が頷く。
研究室の扉が開き、青い白い光に照らされる、白い床が見えた。あすかは走って逃げようとしたが、女が捕まえていて動けない。足だけがバタバタと動く。
「私たちだけにして。女同士で話をするわ」
女が言うと、ついてきていた男たちは後ろへ下がった。
背中を強く押されて、あすかは研究室へと足を踏み入れる。
そして扉が閉まった。