ウソ夫婦
二人は空港内にあるカフェへと入った。積もる話はたくさんある。あったかいキャラメルマキアートを手に持って、席に座った。

「ジェイはいつ来るの？」
「あさって」
「まったく……主役がギリギリなんて話、聞いたことないわ」
ジェニファーが軽くため息をつく。

「仕方ないわ」
あすかは笑って返した。「今抱えてる事件がこの間終わって、その事務処理が残ってるんですって」

ジェニファーは首をすくめる。
「日本の女は物分かりが良すぎる。もっとワガママ言ってもいいのよ。あんまり言うこと聞いてると、男はつけあがるの」

ジェニファーの全てが大胆で魅力的だ。嫌が応でも目立つ。日本語の流暢なジェニファーを、周りの人たちが興味深そうに見ていた。

「二人ともあれ以来、会ってないのよね？」
ジェニファーがマキアートを一口の飲む。

「うん」
あすかは寂しそうに頷いた。

あすかは結局、両親とともに一時帰国した。プロポーズの後、そのままジェイは両親にあってくれた。そして結婚の承諾をもらって、しばらく遠距離恋愛になったのだ。

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